管理規約を確認のうえ、それぞれのマンションに合った適切な対応について考えてみましょう。
マンションの場合、「緑のカーテン」はバルコニーを利用して、アサガオやゴーヤ等を栽培することになります。バルコニーは専有部分ではなく「共用部分」に分類されますが、エレベーターやエントランスなどとは異なり、入居者にはそれぞれのバルコニーを独占的に使用できる「専用使用権」があります。このため、緑のカーテンを栽培しても問題がないと思われる方も多いかもしれません。ですが、バルコニーには共用部分として、いざという時の避難経路の役割があり、防災や安全、さらには美観等の観点から、管理規約(細則)において使用ルールが定められています。詳細はマンション毎に異なりますが、大型の観葉植物や花壇、物置などを置くことが禁止されていたり、高層階での緑のカーテンが禁止されていたりするなど、規約上、植物の栽培が難しいマンションも多いものと思われます。まずはお住まいのマンションのバルコニー使用に関する管理規約を確認しておきましょう。
一方で、緑のカーテンは夏場の日射を遮断する省エネ効果が高いものです。近年、CO2排出量削減のための取り組みとして、全国的に大型商業施設やビジネスビルの屋上・壁面緑化が推進されています。一般住宅向けにも、家庭でできる取り組みとして、環境省のグリーンカーテンプロジェクトをはじめ、多くの自治体が緑のカーテンフォトコンテスト開催や、苗・種の配布、緑のカーテンを上手につくる手引きを公開するなど、普及を推進する取り組みが継続的に行われています。
マンションにおける「緑のカーテン」は、管理規約上は安全面や管理上の問題から判断が難しいことが多いものの、「緑化の推進」は省エネの観点からも好ましいことです。支柱を固定するフックの設置など、緑のカーテンを前提としたマンションの事例も増えてきました。理事会において、非常時の避難経路をふさがず、また排水口を枯れ葉や土などで詰まらせないようにするなどの工夫によって、規約違反にならない適切な利用法の周知やルールづくりを検討してみてはいかがでしょうか? 栽培を希望する入居者の方たちを交えた検討会や「ベランダできる緑のカーテン教室」の開催を企画しても良いかもしれません。
管理規約(細則)の見直しが必要となることも多いため、まずは管理会社に相談してみましょう。
(ハッピーアシスト通信 Vol.45掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2023年5月18日