厳格に対処すべきかどうかは状況により異なります。規約の見直しを視野に「ペットクラブ」の設立なども考えられます。
最近の新築分譲マンションでは、多くがペット飼育を認めていることもあって、そもそも規約違反という認識を持っていない入居者がいるなど、厳格な対処が難しいケースが増えています。また、管理規約上も「他人に迷惑をかけるようなペット飼育は禁止」というように、住民からみて基準があいまいな条文になっているために起きる違反もあるようです。
※なお、こうした管理規約のペットの飼育禁止の規定に基づいて、飼育の差し止めを求める訴訟の判例(管理組合が規約違反者を訴える事例)はいくつかありますが、確認した判例のすべてで管理規約の有効性が認められ、飼育の差し止めを認める判決となっています。
ペット飼育問題はマンション毎にそれぞれ事情も異なりますが、コロナ禍を経てペットの需要が増えるなど社会一般の情勢の変化も考える必要があります。違反者に飼育を止めてもらうのではなく、ペット飼育希望の組合員と一緒に管理規約の見直し案について、建設的な議論を行うのも一案です。
「ペットクラブ」を設立して、円満なマンションコミュニティの維持に取り組む事例が多くあります。参考にされてみてはいかがでしょうか?
「ペットクラブ」とは? その役割
ペット飼育を可能とするには、管理規約を改正し細則等を定める必要がありますが、そのなかで「ペットクラブ」設立を定める事例が増えてきました。その大きな役割は、「①飼育申請の窓口・ペット情報の把握」、「②コミュニケーション活動」、「③トラブル発生時の問題解決」といえるでしょう。
飼育申請の窓口・ペット情報の把握
ペットを飼育しようとする人は、ペットクラブへ申請(届け出)してもらうようにして、マンション内で飼育されているペットの情報を把握します。ペットクラブ加入を義務づけて運営会費を徴収するケースが多いようです。こうした情報をマンション入居者全員が閲覧できる写真付のペット台帳として整備しているクラブもあります。
トラブル解決窓口
ペットをめぐるトラブルが発生した際の窓口となり、問題解決に取り組みます。日頃から積極的に飼育者同士のコミュニケーションを持つことで問題解決のための取り組みが円滑に進むことが期待できます。
コミュニケーション活動
飼育者同士やマンション全体でのコミュニケーションを図ります。入居者間でのトラブルになりやすい共用部でのトイレ(マーキング)問題や、エレベータ内でのマナー等を踏まえ、「ペットクラブ」主催で定期的に共用部の清掃に取り組んでいる事例もあります。
ペットクラブや、規約改正等に必要な手続き等、お住まいのマンションのフロント担当にお気軽にお尋ねください。
(ハッピーアシスト通信 Vol.35掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2023年7月10日