最近では、管理規約で禁止しているマンションも増えています。
受動喫煙の防止という観点で、話し合いましょう。
2020年4月に全面施行された「健康増進法の一部を改正する法律」によって、公共施設や飲食店など多くの人が集まる施設は原則禁煙となりました。同法では、罰則のある禁煙対象施設にマンションなどの住宅は含まれませんが、「喫煙をする際の配慮義務等」として、屋外や家庭においても周囲の状況に配慮する義務があることが明記されています。
こうした流れに加えて、コロナ禍における在宅時間の長期化によって、マンションのベランダでの喫煙トラブルが増えており*1、ベランダでの喫煙を明確に禁止した管理規約(の細則)を定めるマンション管理組合が増えてきました。
これまでは、マンションのベランダでの喫煙については、どちらかといえば「マナー」の問題として話し合われることが多かったようです。ですが、受動喫煙による健康被害が科学的に明らかになるなかでは、理事会として、近隣への受動喫煙の被害がでるような喫煙はやめてもらうように働きかける必要があります。なお、煙やにおいが少ない「加熱式タバコ」については、喫煙時の室内におけるニコチン濃度は紙巻タバコに比べれば低い傾向にあり、また有害化学物質も少ないため、受動喫煙のリスクは低減される可能性がありますが、健康影響を与える有害物質が含まれていることは明らかであること、加熱式タバコの健康リスクはまだ不明なことが多い*2ことから、現時点では紙巻タバコによる受動喫煙と同様に扱うのが妥当であるといえます。
具体的な対応方法や、規約の改定に向けての詳細はマンション管理会社のフロント担当へご相談ください。
マンションにおける近隣とのトラブルについては、騒音やペットなど、多くの問題でも共通することですが、普段から近隣とコミュニケーションをとっている場合とそうではない場合とで、話し合いにかかる労力や解決法が変わってきます。今回の質問のケースでは(規約で禁止されていないとすれば)ベランダでの喫煙時間帯を相談するなどして、受動喫煙被害がでない対応をとれる可能性もあるのですが、極端な場合には、裁判所による調停が必要になったり、訴訟にまで発展したりするのです。
(ハッピーアシスト通信 Vol.44掲載記事を元に最新情報を織り込み再編集)
(公開日)2024年3月25日